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投球障害肩の新たな分類とは?ベネット病変とその治療戦略
投球障害肩の新たな分類とは?ベネット病変とその治療戦略
【野球肩とベネット病変の関係】 野球やテニスなど、腕を大きく振るスポーツをする人に多い「野球肩」。特にピッチャーやバレーボール選手などのオーバーヘッドスポーツ(腕を頭上で使う競技)では、肩に過度な負担がかかります。その中でも「ベネット病変(Bennett lesion)」と呼ばれる骨棘(こつきょく)が、痛みの原因として注目されています。
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ベネット病変は、肩甲骨の後ろ側(後下部)にできる骨の突起です。この病変があると、肩を動かすたびに周囲の組織に刺激を与え、痛みを引き起こします。また、肩関節の可動域が狭くなり、投球フォームにも影響を及ぼします。
【ベネット病変の分類と特徴】 最新の研究では、ベネット病変を3つのタイプに分類しています。
- タイプ1(後下部型):従来のベネット病変で、肩甲骨の後下部に形成される。
- タイプ2(後部型):肩甲骨の中央後部にできる比較的まれなタイプ。
- タイプ3(後上部型):肩の後上部に形成され、インピンジメント(骨と筋肉の衝突)を引き起こしやすい。
また、それぞれのタイプには、
- A(安定型):骨棘がしっかりと骨に付着している。
- B(不安定型):骨片が分離しており、動くたびに刺激を与える。
といったサブ分類もあり、不安定型のほうが痛みが出やすいことが分かっています。
【治療法とリハビリのポイント】 ベネット病変の治療には、まずリハビリを中心とした保存療法が推奨されます。
- ストレッチ:肩の可動域を広げるために、特に後方関節包のストレッチを行う。
- 筋力トレーニング:肩甲骨周囲の筋肉を鍛え、関節の安定性を高める。
- フォームの改善:投球フォームを見直し、肩への負担を軽減。
保存療法で症状が改善しない場合、関節鏡視下手術が選択肢となります。手術では、
- 骨棘の切除:痛みの原因となる部分を削る。
- 関節包の調整:可動域を確保するため、必要に応じて関節包をリリース。
- 合併症の処置:肩関節の内部の損傷がある場合は、修復を行う。
術後は、リハビリをしっかり行うことで、スムーズな競技復帰が可能となります。しかし、研究によると、手術を受けた選手のうち約60%しか元のレベルに戻れなかったとの報告もあり、慎重な判断が求められます。
【まとめ】 野球肩の原因の一つであるベネット病変は、骨棘の形成によって肩の動きを制限し、痛みを引き起こします。最近の研究では、病変の分類が細かく整理され、より的確な治療が可能になってきました。保存療法で改善しない場合は手術も選択肢となりますが、術後の競技復帰率には個人差があります。スポーツを長く続けるためにも、早期発見と適切なケアが重要です。
【参考文献】
- Freehill, M. T., Mannava, S., Higgins, L. D., Lädermann, A., & Stone, A. V. (2020). "Thrower's Exostosis of the Shoulder: A Systematic Review With a Novel Classification." The Orthopaedic Journal of Sports Medicine, 8(7), 2325967120932101.
- Vo, A. M., Rogers, K. M., & Bonner, K. F. (2019). "Arthroscopic Resection of Symptomatic Bennett Lesions." Arthroscopy Techniques, 8(12), e1463-e1467.
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